東国原さん

 ちょっと古い話でかつ意味不明な箇所多いけど許してくださいな


「お兄様、ニュースにそのまんま東が映ってたわ」


「ああ、東国原さんね。彼、宮崎の知事になったんだよ。そんなことも知らないとは……立派なレディーになれないぞ」


妹は無言で僕の耳を引っ張り、そして


「余計なお世話よ。だけど、大丈夫なの? そのまんま東で」


「さあ? まだ始まったばかりだからね。あと、一年はたたないと分らないんじゃないの。ところで、そろそろ放してくれないかな……耳、痛いんだけど」


妹は耳をつかんでいる手を見、はっとした顔をして


「あ〜、ごめんなさいね。ところでなんで、そのまんま東は受かったのかしら。やっぱ、有名人だから?」


「うーん、それはあるだろうけど、今回はそれだけじゃない。主力の無党派層だけではなく自民党支持層や公明党支持層、民主党支持層、共産党支持層などあらゆる別の層から表を取っているようだからね。もちろん、各党はそれぞれが推薦した候補を持っているわけで、普通ならその支持層の大半が自分の支持する党の推薦候補にいれる。
これはすごいことだよ? 公明党の支持層はほぼ動かないことで有名なんだけど、3割以上が党推薦候補以外に入れているからね。たぶん、他の党推薦候補に入れる人は少ないだろうから、その表のほとんどが東氏にながれっていたんじゃないのかな。
これはもう既存の政党に入れたってよくならないだろうというあきらめとそれでも誰かが良くしてくれるかもという希望が人々の心で渦巻いたから起こった奇跡だよ」

「なんだって〜(AA略) 今、使う場面じゃないわね……それはともかく、結果を見て民主主義が成り立ってない、日本の民主主義は駄目だとか言うような人が出てきそうだけど?」


「もう出てきているような気もするけど(笑) そういう人はどういう選択肢があったと言いなさるんでしょうね〜? まさか、自民・公明候補に入れるべきだったというわけじゃないよね。あるいは民主あたりとか……共産だったら『それはありでしたかもね』と言いますが。冗談はともかく、選択肢が無いことを怒るのはありと思うのですが、この話をするのにそれを言っちゃお終いだろうと……それを言うことは、バナナかりんごかみかんのどれか好きなものをお食べくださいと言われているときに、『俺はどれも嫌いだからチョコレート用意しろよ』と言ってるのと同じですよ?


まあ、確かに選択肢が少ないというのは選挙における課題だけどね〜。いつだかの週刊金曜日にも「テレビを見ていると自民くらいしかいれる党が無いような気がするんです」みたいなことを言ってたおばあさんの話が載ってたし」


「ふーん。今日はかなりいい加減なことを言ってたんだから、そろそろやばいんじゃない? 私はそろそろ逃げさせてもらうわ。さよなら、お兄様」


「へっ? どうすればいいの……」


「宅急便でーす」


ドアを開けると宅配便の男が弁当箱ほどの大きさの箱を両手で持ちながら立っている。
あまりにも大事そうに持っているので、僕は何か不自然さを感じたが受け取らないわけにもいかないので、応対をはじめた。


「あ〜、はんこ無いんでサインでいいですか?」


「いや、はんこもサインもいらないですよ。片道なんで」


「へっ?」


僕が振り向いたとき、男は箱を地面に落としていた。


そこから走る閃光。


気づいたときには遅かった……


BADEND?