仄暗い闇の中からこんばんは
呪怨 パンデミック-ディレクターズカット・スペシャル・エディション- [DVD]
- 出版社/メーカー: エイベックス・ピクチャーズ
- 発売日: 2008/03/28
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ホラーに幽霊を出すことのメリットっていったい何なんだろう。
昔、考えたことがあったがその時は答えが出なかった。
とりあえず、今の僕らの世界には幽霊がいるという確固たる証拠はなくて、幽霊というものにリアリティーを感じている人はそんなに多くないような気がする。
リアリティーが無い……もちろん、フィクション作品の中の世界が僕らの世界と同じである必要は無いのだけれども、あまりにもリアリティーが無いと作品全体がぼんやりしてしまって、物語を楽しむ障害になってしまう。
ホラーというジャンルは元々リアリティーというものからかけ離れているものだけれども―とりあえずゾンビはいないし、銃をくらってもぴんぴんしている殺人者もいない―、ゾンビ映画やスプラッター映画などはそこに痛みと痛みから来る死というものを感じさせることによって若干のリアリティーとそこから来る恐怖を観客に与えさせているように感じる。
ただ、幽霊物のホラーでは物にもよるけれども(ゾンビ映画などに比べて)さほど痛みなどが強調されているようには思えない。もちろん、幽霊自体のリアリティーも無い。
しかし、幽霊物の作品の恐怖が少ないとも思わない。むしろ、一定以上の怖さを持った作品が多いのではないかと感じている。
それはいったいどうしてなんだろう……
さて、今回は呪怨パンデミックを見たわけなのですが、これがなかなか怖い。
ここで来るぞって想像がついちゃうんだけれども、それでも怖い。
今までのシリーズの焼き直しみたいなシーンもあるんだけれどもやっぱり怖い。
これはねえだろって言いたくなるシーンもあるけどちょっと怖い。
でも、映画を見ている最中は驚きながらもさほど怖いとは思わなかったんですけどね。不気味で怖いなと思うシーンももちろんあったけど、映画を見終わってさあ寝るかって照明を消して床に入ったときが一番怖い。
もちろん、これはフィクションだって分かっているわけなんだけど、静寂な闇の中の雰囲気、そこに感じたくなる何か……そういうのと映画のシーンの記憶が折り重なって不気味な感覚を覚えされられてしまう。それは大人になって忘れてしまった何か……そう、闇に対する恐怖。
幽霊ホラーが怖いのは闇―の中にいるかもしれない何か―に対する恐怖を描いているからなのでは無いか。その何かが幽霊という存在になっているだけで幽霊が本質というわけではないような気がする。もちろん、どこからでも現れることができるとか幽霊本来の怖さもあるんだけれども、それが幽霊ホラーの怖さの本質というにはちょっと弱いような気が……
さらに極論を言ってしまえば、幽霊ホラーの一番の恐怖は映画本編にあるのではなく、映画を見終わったあとに見る闇の中に、闇の中に何かを感じてしまう僕らの心の中にこそあるのではないのか、そんな感じを受けるのです。
て、僕が怖がりなだけなのかもしれませんが(笑)
参考というかまともな感想紹介